この写真の軸脚は膝が内側に入り股関節は外に出ている、いわゆる股関節内転位となっています。
そこで、着地足と膝と股関節が鉛直に配列されているアライメントに修正したい場合、内転筋や内側ハムストリングスの硬さが原因と考え、解決に向かうとします。
触診や可動域検査をすると、確かに上記の部位に硬化が認められ、本人にも自覚症状があることが多いです。
そこで内転筋群にストレッチやマッサージを行い柔軟性を得ようとすることは1つの解決策として考えられますが、功を奏すことは稀です。
そこで、その人が何気なく行う立ち姿勢や歩行を観察すると新たな原因が見えてきます。


例えば、太ももの外側にある腸脛靭帯に体重を預けて立つ癖のある人は股関節内転位のまま立つ・歩く・階段昇降等の日常生活動作を繰り返しています。
このような立ち方では、着地した瞬間に軸脚が内転位で応答する神経回路がどんどん形成されていきます。

そして、上記のような癖をお持ちの方の解決策の1つとして、股関節外転筋の筋活動を高めるような運動学習を繰り返します。
そうすると学習過程の中で、自然と軸脚のアライメントが修正され、内転筋群に心地よいストレッチ感がおとずれ柔軟性も無理なく獲得されていきます。

例えば、ロコムーブのトレーニング種目の1つであるチーターやカンガルーでも股関節内転位のままでいくら行っても柔軟性に頭打ちがやってきます。
収縮力と伸長力を同時に発揮している、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態だからです。

前回のブログでは、柔軟性不足≒筋力不足と提示しましたが、もう少し深掘りすると筋力不足≒運動学習不足とも言えます。
しかし、この運動学習不足はいわゆる『癖』と呼ばれる無意識下の動作なので、自覚するのはとても難しく動作を正しく判断できる目を持った他者の力が必要となるでしょう。

カテゴリー: 動作分析