インナーマッスルという言葉があります。インナーマッスルを鍛える、というと何か今まで身体の中に眠っていた潜在的な力を引き出すような響きがあります。しかし、実際、インナーマッスルというものはどのような筋肉でそれを鍛えることにどんな意味があるのでしょうか?この記事で検証します。 |
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インナーマッスルとはどういう筋肉か
インナーマッスルとは日本語では深層筋と言われるもので、筋肉は骨格を覆うように配置されていますが、より骨格に近い位置にある筋肉がこの深層筋です。その反対に皮膚に近い位置にある筋肉を表層筋といいます。
生物進化上、より早い段階で獲得された筋肉はより深層に、後から獲得された筋肉は表層に配置されます。なので、インナーマッスルというのは生物進化上より古くに獲得された筋肉なのです。
背中を見ていくと、一番表層にあるのは僧帽筋です。この筋肉は肩甲骨を持ち上げたり、左右内側に引っ張ったり、下に引き下げたりする筋肉です。その深層に少し重なるように広背筋があります。この筋肉は上腕骨と骨盤を近づける筋肉です。さらにその深層に菱形筋があり、菱形筋は肩甲骨を後ろに引く筋肉です。さらにはその深層に脊柱起立筋があります。脊柱起立筋は脊柱を伸展させる筋肉です。脊椎そのものを動かす筋肉なので、いかにも生物進化上、古い生物から由来している筋肉、という気がしますね。
インナーであることはなにか特別なのか
ここで問題なのは、そのより深層にあるというインナーマッスルは、インナーであることによって何か特別なのかということです。残念ながら、筋肉には特別なものも平凡なものもありません。
それぞれは関節運動を生み出すための道具であり、関節運動という目的があって、筋肉という道具があるだけです。もし、ある関節運動をするにために必要な筋力が不足していたらその必要な筋力を補うことになりますが、何も目的となる関節運動がないところで特定の筋肉を鍛えても何か素敵なことが起こるということはありません。
インナーマッスルはよくできたバズワード
深層筋も表層筋もそれぞれ関節運動を生み出すためにあります。インナーマッスルがインナーであることに何も特別な筋肉であるという意味合いはありません。しかし、「インナーマッスルを鍛える」なんて言われると、何かいいことをしているような気になってしまいます。「インナー」という言葉が何か特別なものを期待させるのです。身体の中に眠っていた潜在的な力を引き出させるようなイメージを持たせるのです。
インナーマッスルというのはよくできたバズワードなのです。
インナーマッスルという言葉に踊らされないようにしましょう。インナーマッスルという言葉が出てきたら、まず、実際にどの筋肉の話をしているのかを確認しましょう。そしたらその筋肉がどのような関節運動のためのものなのかを確認しましょう。今どきはインターネットのおかげで、筋肉と関節運動の関係はすぐにわかります。
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